セラミックとジルコニアの違いとは?選び方やメリット・デメリットを紹介

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「セラミック」と「ジルコニア」は、どちらも詰め物や被せ物を用いた治療で使われる素材ですが、見た目や耐久性、治療に適した部位、費用などいくつか異なる点があります。
そこで今回は、セラミックとジルコニアそれぞれの特徴や違い、選び方をご紹介します。セラミック治療を検討している方は、素材を選ぶ際の参考にしましょう。

この記事の監修医師

藤澤 將人 歯科医師

藤澤 將人 歯科医師

  • 監修

日本歯科大学歯学部卒業後、同大学附属病院の矯正歯科にて勤務していました。現在は矯正治療を軸として、予防中心の治療を行う「目白ヶ丘デンタルクリニック・矯正歯科」を開業し、院長をつとめています。

セラミックとは

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セラミックとは、いわゆる陶器のことで、二ケイ酸リチウム(リチウムディシリケート)などを含む透明感の高いガラス系の素材です。歯科医院においては、詰め物や被せ物を用いた治療を行う際に使われる素材であり、セラミックを使った治療をセラミック治療と呼んでいます。

最近では歯科治療の技術が進化し、それに伴ってセラミックの種類も増えており、さまざまな種類から選択可能です。
じつは、ジルコニアもセラミックの1種であり、人工ダイヤモンドと呼ばれるほど強度に優れた新しいセラミック素材として注目されています。この記事では、ジルコニア以外のセラミック系素材を「セラミック」と総称し、セラミックとジルコニアの違いを詳しく解説します。

ジルコニアとは

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ジルコニアはセラミックの一種で、セラミック素材のなかでも強度が高いのが大きな特徴です。

ジルコニアは、ここ数年で歯科医院のセラミック治療に使われるようになりました。まだ広く知られている素材ではないので、歯科医院で「ジルコニア」と聞いても他のセラミック素材との違いが分からない人も多いでしょう。

また、ジルコニアは歯科医院によって呼び方が違うこともあります。「二酸化ジルコニウム」や「人工ダイヤモンド」と呼んでいる歯科医院もありますが、全てジルコニアのことを指しています。

セラミックとジルコニアの違い

セラミックとジルコニアの違いの画像セラミックとジルコニアの違いの画像

セラミックとジルコニアには、さまざまな違いがあります。一番わかりやすい違いは見た目ですが、見た目以外にも耐久性や適した部位、費用、寿命も異なります。
そこでここからは、セラミックとジルコニアの違いをさまざまな面から確認しましょう。

見た目

一番分かりやすい違いは見た目です。セラミックは、ジルコニアより透明感があり、審美性はセラミックの方が高いとされています。
ジルコニアは、セラミックより若干透明性が劣ります。光の透過性が少ない分、人工的なイメージがあります。

このような見た目の違いから、目立ちやすい部位にはセラミックを使用するケースがほとんどです。前歯など審美性を重視したい場合はセラミックを選択するとよいでしょう。

強度と耐久性

セラミックは、一度の治療で永久的に持つものではなく経年劣化します。そのため、強度と耐久性は素材を選ぶ際に重要なポイントです。
セラミックとジルコニアの強度と耐久性を比較すると、ジルコニアの方が高いです。

ジルコニアはその強度の高さから、噛み合わせの強い奥歯に使用されることが多い傾向にあります。また、歯ぎしりのある患者さんにも適用されるほど、強度の高さが特徴となります。強度と耐久性を重視したい場合は、ジルコニアを選ぶと良いでしょう。

適した部位

強度や透明性の違いから、それぞれ適した部位にも違いがあります。治療部位によって、セラミックにするかジルコニアにするかを選ぶことも大切です。

セラミックは、審美性が高いため、目立ちやすい前歯におすすめです。一方、ジルコニアは耐久性に優れているため、噛む力が強くかかり高い強度を求められる奥歯に適しています。

なお、セラミックは永久的ではなく欠けることもあり、適用部位に制限があります。使用する部位によっては、セラミックを使いたくても使えないことがあるため、歯科医師と相談しながら素材を決めましょう。

費用

セラミックとジルコニアでは費用もそれぞれ異なります。一般的にジルコニアは、加工が難しく高い技術を求められるためセラミックより費用が高めです。
しかし近年では、強度の高さや加工の効率化によりジルコニアのコストパフォーマンスが向上しており、費用を安く抑えられることもあります。費用面で選ぶよりも、機能面で何を重要視したいかで選ぶとよいでしょう。

寿命

セラミックとジルコニアの耐用年数は、どちらも適切なケアと定期的なメンテナンスにより10年以上持つことが多いとされています。具体的な耐用年数は、使用する部位や咬み合わせ、日常のケアによって異なります。

セラミックのメリット・デメリット

セラミックのメリット・デメリットの画像セラミックのメリット・デメリットの画像

審美性が高く種類も豊富なセラミックは、その特徴からいくつかのメリットとデメリットがあります。ここからは、セラミックのメリットとデメリットをご紹介します。
セラミックかジルコニアかで迷っている方は、メリットとデメリットも考慮して決めましょう。

セラミックのメリット

セラミックには、主に以下のメリットがあります。

  • 天然歯に近い透明感
  • 金属アレルギーのリスクが少ない
  • ジルコニアより費用が安い
  • 二次虫歯のリスクが少ない

セラミックの特徴は、なんといっても透明感です。透過性のある素材を使用しており、天然歯に近い透明感で装着しても違和感が少ないでしょう。

また、セラミックは素材に金属を使用していないため、金属アレルギーの方にとってリスクが少ないこともメリットです。金属を長期間口腔内に入れることで起きる歯肉変色の心配もありません。ジルコニアと比べて費用が安いことも特徴となります。

さらには、表面がつるつるしている素材のためプラークがつきにくい、歯との接着が強く隙間ができにくいなど、他の金属系素材と比べて二次虫歯のリスクが少ないとされています。

セラミックのデメリット

セラミックには、以下のデメリットもあります。

  • 強度がジルコニアより劣る
  • 歯ぎしりする人や奥歯には不向き
  • 保険適用外の自費診療となる

セラミックの強度はジルコニアより劣ります。負担がかかりすぎると、欠けたり割れたりすることもあり、噛む力がかかりやすい奥歯などへの装着は困難です。また、歯ぎしりをすると歯や顎に大きな負担がかかるため、歯ぎしりをする人にも向きません。

セラミック治療は、保険適用外となるため全額自己負担です。欠けたり割れたりした際の治療費や、寿命を迎えて新たに治療する際にかかる費用も全て自費で払わなければなりません。トータルで見ると負担額が大きくなるデメリットもあります。

ジルコニアのメリット・デメリット

ジルコニアのメリット・デメリットの画像ジルコニアのメリット・デメリットの画像

強度も高いことが特徴のジルコニアも、メリットが多数ある一方でいくつかのデメリットもあります。ジルコニアのメリットとデメリットをそれぞれ詳しくご紹介します。

ジルコニアのメリット

ジルコニアの主なメリットは以下の通りです。

  • 強度や耐久性に優れている
  • 金属アレルギーのリスクが少ない
  • 二次虫歯のリスクが少ない

ジルコニアは、強度や耐久性に優れ、負担がかかりやすい奥歯にも対応していたり、欠けや割れが発生しにくい点が大きなメリットです。
また、セラミックの一種であるジルコニアは、金属を使用していないため金属アレルギーの人でも使用可能です。

セラミック同様に、銀歯などの金属系素材に比べて虫歯のリスクが低いというメリットもあります。とはいえ、日々の丁寧な歯磨きやケアは欠かせませんので、食後しっかりと歯磨きをして二次虫歯を予防しましょう。

ジルコニアのデメリット

ジルコニアには、その特性から以下のデメリットもあります。

  • セラミックほど透明感がない
  • 研磨や調整が難しい
  • セラミックより費用が高め
  • 保険適用外の自費診療となる

ジルコニアは比較的白い素材ですが、セラミックと比べると透明感が少なく、見た目に違和感を感じる可能性があります。なるべく目立たせたくない場合は、目立ちやすい前歯はセラミックにして、強度が必要な奥歯や目立ちにくい場所はジルコニアにするなど、使い分けがおすすめです。

また、ジルコニアは研磨や調整が難しく、高度な技術が求められるため、対応する歯科医院や歯科技師が限られていたり、セラミックより費用が高い点もデメリットです。加えて、ジルコニアは保険適用外の自費診療となるため、治療費は全額自己負担となります。

セラミックとジルコニアの選び方

セラミックとジルコニアの選び方の画像セラミックとジルコニアの選び方の画像

ここまで、セラミックとジルコニアの違いやメリットデメリットを紹介しました。最後に、それぞれの特徴を踏まえたセラミックとジルコニアの選び方をご紹介します。

セラミックが適している人

前歯の治療をする人や見た目を重視したい人は、セラミックが適します。セラミックは透明性が高く、天然の歯に近い見た目になるためです。

目立つ素材だと、気になって思い切り笑えないなど、口元がコンプレックスになったりします。しかし、セラミックであれば透明性の高さや光の通しやすさから、天然歯に近く違和感がほとんどありません。セラミックを装着していることに気づかれないことが多く、見た目を重視したい場合にはセラミックを選びましょう。

また、セラミックもジルコニアも全額自己負担となりますが、ジルコニアと比較するとセラミックは費用が安いため、費用を抑えたい場合もセラミックが適しているでしょう。

ジルコニアが適している人

奥歯の治療をする人や、歯ぎしりや噛み合わせが強い人は、強度と耐久性の高いジルコニアが適しているでしょう。

奥歯は他の歯と比べて多くの負担がかかります。強度が低いとすぐに欠けたり割れたりするリスクがあるだけではなく、長持ちもしません。歯ぎしりや噛み合わせは自然と口腔内全体にも負担をかけていて劣化しやすくなるため、強度の高いジルコニアが適します。

また、長期的な使用を望む人もジルコニアを選びましょう。セラミックと比べてジルコニアは丈夫で耐久性があると言われています。
治療費は高めですが長い目で見ると安く抑えられる可能性があります。

セラミックとジルコニアの組み合わせ

必ずしもセラミックとジルコニアのいずれか1つを選ばなければならないわけではありません。セラミックとジルコニアを組み合わせた治療も選択可能です。

特に、治療箇所が多い場合は部位にあった素材を組み合わせることがベストです。例えば、前歯はセラミックにして負担がかかりやすい奥歯はジルコニアにすると、見た目と耐久性どちらも気にならず長持ちします。

見た目や耐久性・費用など、重視したいポイントは何か決めることが大切です。治療箇所が多い場合は医師と相談して、セラミックとジルコニアの組み合わせ治療を検討しましょう。

まとめ

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セラミックとジルコニアには、見た目や強度・費用・寿命など複数の違いがあり、メリットとデメリットも異なります。それぞれの特徴をしっかり理解して、治療において自分が重視したいポイントを明確にしましょう。

また、セラミックとジルコニアは、単体ではなく組み合わせての治療も可能です。治療箇所が多い場合は、組み合わせて治療することも可能です。正しい知識を持って、信頼できる歯科医師と相談しながら最適なセラミック治療を選択しましょう。 

以下ではセラミック治療に対応している全国のおすすめ歯科医院をご紹介しています。歯科医院選びの参考になれば幸いです。

審美歯科ネットプラス編集部

この記事の執筆者

審美歯科ネットプラス編集部

審美歯科ネットプラス編集部は、メディカルネットが運営する審美歯科治療に特化した情報サイト「審美歯科ネットプラス」で日々配信を行っています。

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