歯茎が白く変色している これって何かの病気?
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ふと鏡を見ると、歯茎が白っぽくなっていた!ということはありませんか?
歯茎が白くなる症状といえば、口内炎を想像される方は多いでしょう。しかし、歯茎が白くなる原因は口内炎だけには限りません。
もしかしたら、重大な病気のサインが現れている可能性もあるのです。
この記事では、歯茎が白く見えるさまざまな原因についてご紹介します。
この記事の監修医師
古川 雄亮 歯科医師
- 監修
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
歯茎が白くなったときに考えられる主な疾患
口内炎
お口の中の粘膜に炎症が起きる病気を口内炎といいます。お口の中が不衛生であること、栄養バランスの偏り、過度なストレス、物理的な刺激など、さまざまなものが口内炎が起こる要因として考えられます。
口内炎で特に多いのがアフタ性口内炎と呼ばれるもので、患部の表面が白や黄色の膜で覆われます。
歯肉炎
歯茎の炎症では、一般的に患部が赤く腫れるという症状が現れます。しかし、歯間の歯茎が壊死し潰瘍を作るという「壊死性潰瘍性歯肉炎」は、歯肉が白濁し出血や強い痛みを伴います。
これは特殊な歯肉炎で、ストレス、栄養状態、AIDSなどに関連して起こると考えられています。
フィステル
フィステルとは、虫歯の進行などによって歯根に膿ができてしまい、歯の周りの骨を溶かして歯茎を突き破って膿が流れ出てしまう際にできるものです。
歯茎の白い部分は、歯の根に近い歯茎に白いニキビのような膨らみができてそこから膿が流出している状態かもしれません。
口腔カンジダ症
真菌の一種であるカンジダに感染する病気です。お口の中でカンジダが増殖すると、歯茎にカッテージチーズのような白い塊が現れます。
カンジダ自体はお口の中に普段から存在している常在菌ですが、唾液の減少や免疫低下などによって異常に増えるとカンジダ症を発症します。痛みやかゆみはないものの、無理に剥がそうとすると出血などが起きます。
感染症
手足口病やヘルペスといったウイルス感染症は、歯茎などの組織に水疱を作ります。症状としては痛みのほか、熱を感じることもあります。
歯茎が白く変色していると歯肉がんの可能性も?
ここまで、歯茎が白く見えるさまざまな原因を紹介してきましたが、このほかに「歯肉がん」と呼ばれるがんが原因である可能性についてもお話します。
東京医科歯科大学によると、
口腔がんの中では舌がんの次に多く見られるのが歯肉がんだとされており、その割合は口腔がんの約25%だということです。発生する部位などにもよりますが、歯肉が白く変化する「白斑型」というものがあります。
歯肉がんは歯茎のすぐ下にある顎骨にも侵食しやすく、手術では顎骨の一部を切除する可能性があります。違和感があるなど気になる場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
歯茎全体が白く変色しているときは体調不良かも
歯茎の一部が白くなるケースばかりでなく、歯茎全体が白く見える状態になるものもあります。ここでは「低栄養」と「貧血」について説明します。
貧血
貧血が進行するとさまざまな粘膜が白っぽくなり、歯茎も全体的に白く見えます。
貧血というと、めまいなどの全身症状を伴うイメージがあるかもしれませんが、慢性的な貧血になると自覚症状がほとんどない場合もあります。
酸素を運ぶ役割を持つ赤血球の濃度が低くなっていれば、全身症状が起こっていなくても貧血です。
低栄養
歯茎の粘膜は、いろいろなビタミンやタンパク質など、さまざまな栄養から構成されています。栄養素を十分に取り込んでいないと粘膜が荒れるようになり、歯茎も白っぽく見えるケースがあります。
極度なダイエットなどにより栄養の摂取が不十分になると、粘膜が荒れて歯茎が白っぽくなる症状が現れることもあります。
まとめ
歯茎が白くなる原因にはさまざまなものが考えられます。歯肉炎や口内炎といった病気が原因であれば、しっかり口腔ケアをすることで改善かつ予防できる可能性があります。普段からお口の中をきれいにし、歯肉の状態をチェックしてみてください。
もし歯茎が白くなっていたら、何らかの疾患を抱えている可能性もありますので、違和感があれば歯医者さんですぐに診察してもらうとよいでしょう。