差し歯の黄ばみはホワイトニングできる?予防方法や対処方法を解説

差し歯の黄ばみはホワイトニングできる?予防方法や対処方法を解説 監修:小池 陵馬 歯科医師の画像

「差し歯が黄ばんで浮いて見える…」「歯のホワイトニングをしたいけど、差し歯の色も白くできる?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

天然歯はホワイトニングで白くできます(※)。しかし差し歯そのものは、天然歯のようなホワイトニングで白くすることはできません。すでに差し歯が黄ばんでいる方は入れ替えるのがもっとも効率的です。

とはいえ、差し歯が変色する原因を理解するとともに、正しく予防すること、適切に対処することができれば美しい口元を保つことにつながるはずです。

この記事では以下のような情報をまとめています。

  • 差し歯にホワイトニングはできる?
  • 差し歯が変色する原因と予防方法
  • 差し歯を白くするための対処方法

ぜひ参考にして、美しい歯を取り戻しましょう。

※天然歯でも、失活歯(神経がない歯)の場合は一般的なホワイトニングではなく、歯を内部から漂白する「ウォーキングブリーチ」と呼ばれる治療方法が選択肢となります。

この記事の監修医師

小池 陵馬 歯科医師

小池 陵馬 歯科医師

  • 監修

広島大学歯学部卒業。日本顎咬合学会の認定医であり、日本成人矯正歯科学会日本矯正歯科学会に所属しています。岡崎エルエル歯科・矯正歯科にて副院長の経験を経て、現在は医療法人清翔会理事長として14つの医院を経営しています。

差し歯はホワイトニングできないって本当?

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差し歯はホワイトニングで白くすることはできません。歯科医院のホワイトニング剤は過酸化水素や過酸化尿素などの成分によって、歯の表面に付着した着色物質を分解し、歯の内部の色素を漂白する仕組みです。これらの成分は、天然歯のエナメル質や象牙質に作用することで効果を発揮します。

一方、差し歯はセラミックやプラスチックなどでできており神経も通っていません。ホワイトニング剤を使用してもそうした素材自体を漂白したり、色調を変化させたりすることはできないのです。

ホワイトニングはあくまで天然歯に対して効果のある処置であり、人工歯である差し歯には効果がないということを覚えておきましょう。

表面的な着色汚れは落とすことができる

差し歯をホワイトニングで白くすることはできませんが、表面的な着色汚れであれば歯科医院でのクリーニングで落とせる可能性があります。

差し歯の表面は、日々の飲食などによって着色しやすい状態となっています。長く使っている差し歯ほどこれらの汚れが表面にこびりつき、やがて黄ばみや黒ずみの原因となります。

歯科医院で行うクリーニングでは、専門の器具や研磨剤を使用して表面的な着色汚れを丁寧に除去します。ごく軽い表面的な汚れであれば、差し歯本来の白さや輝きを取り戻せる場合があります。

とはいえ差し歯の状態によっては完全に汚れを落とせなかったり、研磨で表面に傷がついて汚れが入り込んでしまったりするリスクもあります。そのためまずは歯科医師に相談し、クリーニングで落とせる汚れかどうかなどを判断してもらうことが大切です。

差し歯が黄ばむ3つの原因と予防方法

差し歯が黄ばむ3つの原因と予防方法の画像 差し歯が黄ばむ3つの原因と予防方法の画像

差し歯が黄ばむ3つの大きな原因とその予防方法をまとめました。しっかり理解して、差し歯の美しい状態を保ちましょう。

差し歯の経年劣化

プラスチック製の差し歯は経年による変色が起こりやすい素材として知られています。プラスチックは水分を吸収しやすく、長年使用していると徐々に黄ばみや変色が目立つようになります。また表面に細かい傷がつきやすく、そこに汚れや着色物質が付着することで変色が進行することもあります。

一方セラミック製の差し歯は、プラスチックに比べて経年による変色が少ない素材です。陶器と同じように表面が滑らかで汚れが付着しにくく、水分も吸収しにくい性質を持っているため、長期間使用しても美しい白さを保つことができます。ただし長年の使用によって表面に細かい傷がついたり、わずかに変色したりすることはあります。

予防方法

  • 定期的な歯科検診とクリーニングを受ける
  • 丁寧な歯磨きを心がける
  • 着色しやすい飲食物を控える
  • 禁煙する

喫煙

タバコのヤニは、差し歯の黄ばみの大きな原因の一つです。タバコの煙に含まれるタールやニコチンなどの成分は差し歯の表面に付着しやすく、時間の経過とともに蓄積されていきます。これらは非常に強力な着色成分を含んでおり、一度付着すると通常の歯磨きではなかなか落とすことができません。

特にプラスチック製の差し歯は表面に細かい傷がつきやすく、そこにヤニが付着することで変色が進んでしまいます。もちろん変色が起こりにくいセラミック製の差し歯であっても、喫煙によりタバコのヤニが少しずつ付着・定着すれば、徐々に変色する可能性があります。

予防方法

  • 禁煙に取り組む
  • 禁煙が難しい方は電子タバコに切り替える
  • 食後や喫煙後は歯磨きとうがいをこまめにする
  • 定期的な歯科検診とクリーニングを受ける

食生活

コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、トマトソースなど色の濃い食べ物や飲み物には、差し歯に着色しやすい成分が含まれています。これらの飲食物を頻繁に摂取することで、差し歯の黄ばみが進行することがあります。

特にプラスチック製の差し歯は表面に細かい傷がつきやすいことから、色素が入り込んで頑固な変色汚れとなる場合があります。好きなものを我慢するのは難しいですが、摂取する頻度を意識的に減らしたり食後に歯磨きや口をすすいだりすることで、着色の進行を緩やかにできる可能性があります。

予防方法

  • 着色しやすい飲食物を控える(コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、トマトソースなど)
  • 色の濃い飲み物を飲む際はストローを使用する
  • 食後はできるだけ早く歯磨きやうがいをする
  • 定期的な歯科検診とクリーニングを受ける

差し歯の黄ばみはどうやって治療すればいい?

差し歯の黄ばみはどうやって治療すればいい?の画像 差し歯の黄ばみはどうやって治療すればいい?の画像

黄ばんでしまった差し歯を白くするにはどうすればよいのか、代表的な方法をいくつか紹介します。

天然歯の白さに合わせた差し歯に入れ替える

もっとも確実で効率的なのが、天然歯の白さに合わせて差し歯を作り直す方法です。歯科医院で希望すれば、天然歯の色調に近い色で差し歯を作ってくれます。

なお差し歯の素材には公的医療保険が適用されるものと、自由診療になるものがあります。前者の代表的な素材は、歯科用プラスチック(レジン)を使った「硬質レジンジャケット冠」や「硬質レジン前装冠」です。他にもCAD/CAMシステムを使って作られた「CAD/CAM冠」や「CAD/CAMインレー」などのハイブリッドセラミックも保険適用になる場合があります。

これらは費用を抑えられるメリットがありますが、プラスチックなどの素材が使用されているため、経年による変色が起こりやすいというデメリットがあります。

一方、自由診療となるセラミック製の差し歯(オールセラミックやジルコニアなど)は、費用の負担は大きいですが天然歯に近い自然な白さと透明感を再現でき、変色もしにくいというメリットがあります。強度や耐久性にも優れているため、長期間美しい状態を保つことができます。

「できるだけ費用を抑えたい」のか、「将来的にも変色の心配がない差し歯がよい」のかなど、予算や希望を歯科医師に伝えてより良い素材を選んでいきましょう。

差し歯の白さに合わせて天然歯をホワイトニングする

「天然歯よりも差し歯のほうが白い」という方は、差し歯の白さに合わせて天然歯をホワイトニングする方法があります。ただし、この方法を希望する場合は歯科医師によく相談してください。

ホワイトニングの効果には個人差があり、「差し歯に合うピッタリな白さ」になるかどうかはわかりません。また、特にプラスチック製の差し歯は経年による変色が起こるため、数年経った頃には「白かった差し歯が黄ばんできて、逆に差し歯だけが目立つようになる」ことも考えられます。この場合は差し歯を作り直すなどの判断が求められるでしょう。

ホワイトニングは自由診療であるため費用も高くなるなど、デメリットが多い点も含めてよく検討することをおすすめします。

差し歯にホワイトコートを塗布する

差し歯の黄ばみが気になる方は、歯科医院で歯科用のホワイトコート剤を塗布する方法もあります。ホワイトコートとは、歯の表面に白い樹脂を薄くコーティングする治療方法です。差し歯に塗布すると表面の色調を一時的に白く見せることができます。

ただし手軽に差し歯を白くできるメリットがある反面、コーティングの継続期間は1か月ほどと短いため、白さを長続きさせるには継続的に塗布する必要があります。またホワイトコートはあくまで表面をコーティングするだけなので、差し歯の色そのものが変わるわけではありません。

結婚式や同窓会など短期間だけ差し歯を白くしたいという場合には、有効な選択肢となるでしょう。

表面の汚れのみ落とす場合は歯科医院でクリーニングする

できるだけ費用を抑えたい方は、まず歯科医院でのクリーニングを受けてみるとよいでしょう。専門の器具や研磨剤を使用して、差し歯の表面に付着した汚れや着色物質を取り除きます。

ホワイトニングのように色自体を変えることはできませんが、表面の汚れを除去することで見た目の印象を改善できる可能性があります。特にタバコのヤニや茶渋など、通常の歯磨きでは落としきれない頑固な汚れを落とすのには効果的でしょう。

ただしクリーニングでは落としきれない汚れもあり、また研磨剤によって差し歯の表面に細かな傷がつき、そこへ汚れが入り込んでしまうといったリスクもあります。そのためまずは歯科医師に相談し、適切なクリーニング方法を選択することが大切です。

まとめ

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差し歯はホワイトニングで白くすることができません。そのため、すでに黄ばんでいる差し歯を白くするには新しく作り直すしかありません。

ただし差し歯の表面的な着色汚れは、歯科医院でのクリーニングで落とせる場合があります。黄ばみが気になる方はまずは歯科医師に相談し、クリーニングで改善できるかどうかを調べてもらいましょう。

また日頃の丁寧なケアや食生活などの見直しによって、差し歯の経年変化による黄ばみの進行を緩やかにすることができます。着色しやすい飲食物を控えたり禁煙したり、毎日の歯磨きを丁寧に行ったりすることが大切です。

黄ばんだ差し歯を新しく入れ替えるなら、変色が起こりにくいセラミック素材の差し歯を検討してみるのもおすすめです。セラミックは天然歯に近い自然な白さと透明感が再現できるだけでなく、強度や耐久性にも優れています。

差し歯の黄ばみで悩んでいる方は、諦めずにまずは歯科医師に相談し、適切な治療方法を選択しましょう。以下のリンク先では、全国にあるホワイトニングやクリーニングを取り扱う歯科医院、セラミックの差し歯を取り扱う歯科医院などをエリアや駅単位で探すことができます。近くの歯科医院を探す際に役立ててください。

審美歯科ネットプラス編集部

この記事の執筆者

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審美歯科ネットプラス編集部は、メディカルネットが運営する審美歯科治療に特化した情報サイト「審美歯科ネットプラス」で日々配信を行っています。

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