差し歯が不自然に見えてしまう理由3選
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マスクを外してふと鏡を見た時、差し歯の不自然さが気になった……なんてことはありませんか?実は、差し歯が不自然に見えてしまうのにはいくつかの原因があります。
口元の印象を整えるには、この原因をきちんと理解したうえで、あなたに合った差し歯を選択することが大切です。ここでは3つの原因について詳しく紹介しています。
この記事の監修医師
古川 雄亮 歯科医師
- 監修
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
差し歯が不自然に見えてしまう理由その1
「使用する素材によって天然歯と色が異なってしまう」
差し歯としてしばしば使われる被せ物ですが、「オールセラミッククラウン」「陶材焼付前装冠(メタルボンド)」「ジルコニアクラウン」「レジン前装冠」「硬質レジンジャケット冠」などがあります。
「オールセラミッククラウン」「陶材焼付前装冠(メタルボンド)」では両方ともセラミックを使用していますが、使われている範囲が全てか一部かという違いがあります。最近では人工ダイヤモンドで頻用されるジルコニアの使用も多くなっています。
レジン前装冠は、金属とレジン(プラスチック)を使用して作られた差し歯です。硬質レジンジャケット冠はプラスチックのみが使われています。保険適用となるため、安価で治療を受けることが可能ですが、天然歯と色が揃わない・経年劣化が起きるといったデメリットがあります。
レジンは飲食物によって着色したり、水を吸って変色したりしますし、すり減ったり欠けたりで形が変わってしまうケースも少なくありません。
※年の金属の高騰により、CAD/CAM冠(セラミックとプラスチックのハイブリッド)、チタン前装冠なども保険治療で使えるように精度が改変されています。
差し歯が不自然に見えてしまう理由その2
「歯茎が下がって被せ物の金属が見えて歯茎が黒ずんでいるように見えてしまう」
レジン前装冠は金属が使用されているため、金属が錆びたり金属イオンとして溶け出します。歯と歯茎の間が黒ずんでしまうケースもありますが、黒いラインは「ブラックマージン」と呼ばれています。
ブラックマージンの主な原因は、歯周病などにより歯茎が下がるなどして被せ物の金属の縁の部分の露出です。元の健康な状態に治すには、土台や被せ物に金属を含まない差し歯を再セットする必要があります。
オールセラミッククラウンやジルコニアクラウンは、変色したり歯茎にダメージを与えたりといった影響はほとんどありません。見た目・強度ともに、天然歯と大差のない仕上がりになりますし、経年劣化の心配もなく高い持続性を発揮します。
もともとレジン前装冠を装着していた方が見た目や強度を気にしてセラミック製の差し歯へ変更するケースも少なくありません。
保険診療でも金属を使用しない被せ物は沢山ありますが、公的医療保険適用の範囲内という条件で限定的なので、自分が希望する場所に適用されるとは限りません。
差し歯が不自然に見えてしまう理由その3
「歯並びのバランスが合っていない」
歯並びには「黄金比」というものがあります。黄金比とは、ある対象がキレイに見えるための理想的な比率のことを指します。差し歯を美しく見せるには、歯並びの黄金比も考慮することが重要です。
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差し歯の形が良くても見た目が悪く見えてしまう原因としては、差し歯のサイズが標準の歯のサイズに対して大きすぎたり小さすぎたりする、顔の真ん中と差し歯の真ん中のラインが合っていない、もしくは差し歯自体の傾きが過度であるなどが挙げられます。
このほか、差し歯の色が極端に白すぎるのも違和感を与える一因となるでしょう。
差し歯の不自然さを少しでもおさえるために
保険適用のレジン前装冠やレジンジャケット冠は、保険治療が可能ですが、金属を使っているためアレルギーや見た目など、さまざまなデメリットがあります。保険が適用されるという理由だけで決定せず、差し歯に使う素材がどのようなものなのか、どういった特徴を持っているのか。歯科医から詳しく説明してもらい、メリットとデメリットを理解した上で判断しましょう。
また最終的な被せ物を装着する前に一定期間だけ仮歯を装着する場合は、仮歯の段階で最終的にどんな被せ物にしたいのか医師としっかりと相談しましょう。
差し歯の治療後の見た目の不自然さで悩まないように、本記事で差し歯が不自然に見える理由を頭の片隅に入れておきましょう!