ホワイトニングの仕組みを徹底解説!歯が白くなる原理と効果
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ホワイトニングの基本的な知識から歯が白くなるメカニズム、効果や安全性、費用まで気になるポイントを徹底解説します。
ホワイトニングには歯科医院で行うオフィスホワイトニング、自宅で行うホームホワイトニング、両者を併用するデュアルホワイトニングなどがあります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を見つけましょう。
またホワイトニングの効果が得られない歯も存在するため、そもそも自分の歯がホワイトニングに適しているかどうかを知ることも大切です。この記事ではホワイトニングに関するあらゆる疑問に答えていくので、ぜひ美しい白い歯を手に入れるための参考にしてください。
この記事の監修医師

小池 陵馬 歯科医師
- 監修
広島大学歯学部卒業。日本顎咬合学会の認定医であり、日本成人矯正歯科学会・日本矯正歯科学会に所属しています。岡崎エルエル歯科・矯正歯科にて副院長の経験を経て、現在は医療法人清翔会理事長として14つの医院を経営しています。
ホワイトニングとは?


ホワイトニングとは、歯を漂白して見た目を明るくする治療法です。歯の表面や内部に蓄積した色素を分解し、歯の自然な白さを引き出します。私たちの歯は日々の食事や生活習慣の中で徐々に着色していきます。着色汚れの主な原因は以下の通りです。
- 食品や飲料
コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレーなどは歯の表面に色素が付着しやすい飲食物です。 - 喫煙
タバコのヤニは歯を黄色くするだけでなく、歯の質自体を変化させてしまいます。 - 加齢
年齢を重ねるごとに歯のエナメル質が薄くなり、内部の象牙質の色が透けて見えやすくなります。 - その他
テトラサイクリン系抗生物質などの薬物やフッ素の過剰摂取なども、歯の変色を引き起こすことがあります。
ホワイトニングに使用する薬剤が、これらの原因によって歯の表面や内部に蓄積した色素を分解し歯を白く美しい状態へと導きます。
ホワイトニングの種類と特徴
ホワイトニングには「オフィスホワイトニング」と「ホームホワイトニング」のほか、それらを併用する「デュアルホワイトニング」があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を見つけましょう。
※市販のホワイトニング商品を使用する方法もありますが、この記事では「歯科医院で取り扱っているホワイトニング」についてご紹介しています。
オフィスホワイトニング
歯科医院で受けるホワイトニングです。歯科医師や歯科衛生士が高濃度のホワイトニング薬剤と専用の機器を使用して歯を白くします。最大のメリットは短時間で効果を実感しやすいことであり、1回の施術で歯が白くなる方もいます。繰り返し受けることで理想的な白さに近づけます。結婚式やイベントなどを控えていて、すぐに歯を白くしたい方におすすめです。
また歯科医院で行うため安全性が高いのも特徴です。歯科医師や歯科衛生士が歯や口腔内の状態を確認した上で施術するため、歯や歯茎へのダメージも最小限に抑えることができます。
ホームホワイトニング
自宅で行うホワイトニングです。歯科医院で作製したマウスピースに専用のホワイトニング薬剤を塗布し、毎日一定時間装着します。通常は2週間から1か月ほど続けることで徐々に歯が白くなっていくのを実感できます。
自分のペースでじっくり取り組めるほか、オフィスホワイトニングに比べて薬剤の濃度が低いため痛みを感じにくいといったメリットがあります。また歯科医院に通う回数も少ないので、忙しい方も始めやすいでしょう。
デュアルホワイトニング
オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせた方法です。それぞれのメリットを取り入れて短期間で理想的な白さを目指します。
即効性と持続性を兼ね備えた効率的なホワイトニング方法なので、結婚式や就職活動など大切なイベントを控えている方や、できるだけ早く歯を白くしたい方におすすめです。ただしデュアルホワイトニングは、他の方法に比べて費用が高くなる傾向があります。
ホワイトニングで歯が白くなるメカニズム


ホワイトニングは、過酸化水素や過酸化尿素といった過酸化物を使用して、歯の着色汚れを分解する化学反応を利用した治療方法です。歯の表面には有機物や無機物などが複雑に絡み合った「着色物質」が存在します。ホワイトニング薬剤に含まれる過酸化物が着色物質に浸透すると、化学反応が起こって分解されます。
より詳しく説明すると、過酸化物が分解される際に発生する「活性酸素」が、着色物質の分子を小さく分割します。分割された着色物質は歯の表面から剥がれやすくなり、洗い流されることで歯が白くなるというメカニズムです。
ホワイトニングの効果は過酸化物の濃度や使用時間、歯の着色具合などによって異なります。また歯の内部にまで浸透した着色物質を分解するため、表面的なクリーニングでは得られない、より高いホワイトニング効果が期待できます。
使用する薬剤
ホワイトニングで使用される主な薬剤は、「過酸化水素(H₂O₂)」と「過酸化尿素(CH₆N₂O₃)」の2種類です。
過酸化水素(H₂O₂)
主にオフィスホワイトニングで使用される薬剤です。短時間で効果が得られるなど即効性に優れているため、すぐに歯を白くしたい方に向いています。オフィスホワイトニングでは、歯科医師の管理のもと30~35%という高濃度の過酸化水素が使用されます。光やレーザーを照射することで過酸化水素の分解を促進し、ホワイトニング効果を高める場合もあります。
過酸化尿素(CH₆N₂O₃)
主にホームホワイトニングで使用される薬剤です。歯科医師の指示に従い、自宅でマウスピースに薬剤を塗布して装着します。また低濃度(薬機法で認可されている濃度は10%まで)で使用するため、過酸化水素よりも穏やかに作用します。この特徴から、時間をかけてじっくり歯を白くしたい方に向いています。
化学反応による歯の色素分解
歯の表面にホワイトニング薬剤を塗布すると、過酸化水素や過酸化尿素などの成分が歯の表面を覆っているエナメル質に浸透していきます。エナメル質は小さな穴が無数にあいた構造をしており、ホワイトニング薬剤の成分はこれらの穴を通って歯の内部へと到達します。
歯の内部には象牙質と呼ばれる、エナメル質よりも柔らかい組織があります。象牙質には飲食物などに含まれる色素や、タバコのヤニなどが蓄積しています。これらの色素はベンゼン環や共役二重結合といった構造を持つ有機化合物であり、光を吸収することで特有の色を発します。
ホワイトニング薬剤が象牙質に到達すると、過酸化物が分解される際に発生する活性酸素が、これらの色素分子に作用します。活性酸素は色素分子のベンゼン環や共役二重結合を破壊し、分子構造を変化させます。これにより色素分子は光を吸収する能力を失い、色が薄くなる、あるいは無色になるというメカニズムです。
歯への影響と安全性
歯科医院が取り扱うホワイトニングは、適切に行えば安全性の高い治療方法です。しかし、いくつか注意すべき点もあります。
知覚過敏
ホワイトニング薬剤に含まれる過酸化物が、歯の象牙質に達することがあります。象牙質には神経につながる象牙細管という管があるのですが、過酸化物が象牙細管に浸透すると一時的に歯髄(神経)が刺激され、知覚過敏が起こることがあります。
通常は数日以内で自然に治まりますが、症状が気になる場合は歯科医師に相談しましょう。知覚過敏抑制剤などをもらえる場合があります。
エナメル質への影響
適切な濃度のホワイトニング薬剤を使用すれば、エナメル質の硬度に悪影響を与えることはありません。しかし施術後は歯の表面が一時的に脱水状態になるため、汚れや着色が付きやすい状態といえます。再石灰化を促すケア(フッ素塗布など)が重要になってくるでしょう。
長期的な影響
ホワイトニングを繰り返し行う場合でも、歯科医師の指導のもと適切な間隔で行えば、歯に悪影響を与えることはありません。しかし市販のホワイトニング薬剤を自己判断で使用してしまうと、歯に悪影響を及ぼす可能性があります。市販のホワイトニング薬剤は、使用する前に必ず歯科医師に確認を取りましょう。
ホワイトニングの効果と持続期間


ホワイトニングの効果や持続期間は、薬剤や歯の状態などで変わります。一般的にいわれているホワイトニングの効果と持続期間について解説します。
ホワイトニングで期待できる効果
- 歯の表面の着色汚れの除去
飲食物(コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレーなど)に含まれる色素やタバコのヤニなどに含まれる色素は、歯の表面に付着し着色汚れの原因となります。ホワイトニングはこれら表面的な着色汚れを分解し、除去する効果が期待できます。 - 歯の内部の着色汚れの分解
加齢や特定の薬剤の影響によって歯の象牙質が黄変することがあります。ホワイトニングには、歯の内部に浸透した過酸化水素が着色物質を分解することで黄ばみを改善する効果が期待できます。 - 歯の明度向上
ホワイトニングは歯の表面だけでなく内部の着色物質も分解します。これにより歯全体の明度を向上させる効果が期待できます。 - 見た目の印象向上
歯が白く美しくなることで、心理的な満足感や自己肯定感が高まる効果も期待できます。
ただしホワイトニングの効果には個人差があり、歯の状態や着色の原因によっては期待通りの効果が得られない場合もあります。
効果の持続期間
- オフィスホワイトニング
効果の持続期間は3~6か月程度です。高濃度の薬剤を使用するため即効性は高いですが、色戻りも比較的早い傾向があります。 - ホームホワイトニング
効果の持続期間は6~12か月程度です。低濃度の薬剤を時間をかけて浸透させるため効果が現れるまでに時間はかかりますが、持続期間も長くなります。
ホワイトニングの効果を少しでも長持ちさせるためには、定期的な歯科検診とクリーニングを受けて、歯の表面に付着した汚れを取り除くとともに着色を防ぐことが大切です。またコーヒーや赤ワイン、カレーなど着色しやすい飲食物の摂取も控えめにするとよいでしょう。
そのほか、タバコのヤニは歯に頑固にこびりついて着色を促進するため禁煙を心がけること、毎日の歯磨きやデンタルフロスなどの使用で口腔内を清潔に保つことなども重要です。
ホワイトニングを受ける前に知っておきたいこと


ホワイトニングを検討している方が事前に確認しておくべきポイントを解説します。
ホワイトニングできる歯
- 天然歯
- 加齢による黄ばみがある歯
- 食飲物により着色した歯
- 喫煙により着色した歯
ホワイトニングは、基本的に健康な天然歯に対して効果が期待できます。具体的には上記のような歯がホワイトニングに適しています。ただし、歯の状態によってはホワイトニングの効果が得られにくい場合や、適さない場合があります。
たとえば重度の虫歯や歯周病、エナメル質形成不全などの場合は事前に治療が必要です。またテトラサイクリン系の抗生物質による変色歯や神経のない失活歯は、特殊なホワイトニングが必要になることがあります。自分の歯がホワイトニングに適しているかどうかは、歯科医師に相談して確認することをおすすめします。
ホワイトニングできない歯
- 被せ物や詰め物などの人工歯
- 失活歯(神経がない/死んだ歯)
- 重度のテトラサイクリン歯
- フッ素斑がある歯
- 重度の着色汚れがある歯
- 無カタラーゼ症の方(薬剤を分解できないため)
セラミックやプラスチックなどの人工物はホワイトニングで白くすることができません。また神経を失った歯は内部から変色するため、通常のホワイトニングではなくウォーキングブリーチなどの特殊な方法が必要です。
またテトラサイクリン系の抗生物質の影響で変色した歯は、通常のホワイトニングでは効果が得られにくい場合があります。フッ素の過剰摂取で起こるフッ素斑の場合も、ホワイトニングで白くすることは難しいと考えてよいでしょう。
そのほか重度の着色汚れがある歯も、ホワイトニングで理想的な白さにできない場合があります。これらの歯に対してホワイトニングを希望する方は、事前に歯科医師に相談してより適した方法を選択することになるでしょう。
ホワイトニングの費用について
- オフィスホワイトニング:20,000~70,000円
- ホームホワイトニング:15,000~40,000円
- デュアルホワイトニング:40,000~80,000円
審美目的のホワイトニングは自由診療のため、歯科医院が自由に価格を設定できます。上記はあくまで目安と考えてください。費用を抑えたい場合は、複数の歯科医院で費用を比較したりキャンペーンや割引があれば利用したり、ホームホワイトニングを選んだりするとよいでしょう。ただし費用だけでなく歯科医師の技術や実績、使用する薬剤なども考慮して自分に合った歯科医院を選ぶことが大切です。
まとめ


ホワイトニングとは、過酸化水素などの薬剤を使用して歯の着色汚れを分解し、歯を白くする審美的な歯科治療です。歯科医院で行うオフィスホワイトニング、自宅で行うホームホワイトニング、そして両者を併用するデュアルホワイトニングなどがあります。
歯の表面に付着した飲食物やタバコのヤニによる着色汚れや、加齢による歯の黄ばみを除去する効果が期待できます。個人差はありますがオフィスホワイトニングの持続期間は3~6か月、ホームホワイトニングの持続期間は6~12か月ほどです。
ホワイトニングを検討している方は、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
- 歯科医師と相談し、自分に合った方法を選ぶ
- 定期的な歯科検診とクリーニングを受ける
- 着色しやすい飲食物や喫煙を控える
- 毎日の丁寧な歯磨きとフロスを欠かさない
ホワイトニングに関心がある方は、ぜひ歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。なお以下のリンク先では、全国にあるホワイトニングが受けられる歯科医院を、エリアや駅ごとに絞って探すことができます。自分にピッタリな歯科医院探しに、ぜひ役立ててください!