セラミックの歯が虫歯にならないって本当？長持ちさせるためのケア方法

セラミックの歯には汚れが付着しにくく虫歯菌の酸で溶かされることもないというのが、虫歯になりにくいもっとも大きな理由です。

セラミック製品の一つに陶磁器があります。たとえばマグカップをイメージすると分かりやすいですが、セラミックの歯も表面がツルツルしていて汚れが付きにくく、歯垢が溜まりにくい特徴があります。虫歯菌が繁殖しづらいため、天然歯に比べると虫歯になりにくいというわけです。

また虫歯は、虫歯菌が歯垢を分解する際に産生される酸により、天然歯の表面を覆うエナメル質が溶かされることで発症します。セラミックはエナメル質よりも耐酸性に優れているため、仮に歯垢が付着しても虫歯菌の酸によって溶かされることがありません。

セラミックの歯が虫歯になりにくい理由として、変形したり成分が溶け出したりしない点、虫歯菌の増殖といった口腔内環境の変化に影響を受けにくい点も挙げられます。

セラミックは前述のように耐酸性に優れているだけでなく、耐熱性・耐摩耗性にも優れている素材です。たとえば唾液にさらされて成分が溶け出すこともなければ、飲食による口腔内の温度変化で膨張したり収縮したりすることもありません。

変形などが原因で天然歯とのあいだに隙間が生まれることがないため、汚れも入り込まず虫歯になりにくいというわけです。またセラミックはそもそも人工物であり、虫歯菌の増殖など口腔内環境の変化を受けにくい素材でもあります。

セラミックの歯が虫歯になりにくい3つめの理由として、接着性に優れている点が挙げられます。セラミックに使用する接着材は、保険診療で使用するものよりも接着力の強い自由診療専用の接着材を使用します。一般的に想定される範囲内で使用している限り、最初に天然歯に対してしっかり密着させることができれば、汚れが入り込む原因となる「天然歯との隙間・段差」が生じることはありません。歯垢などの汚れをエサにする虫歯菌の増殖も抑えられることから、虫歯になりにくいというわけです。

銀歯を含む金属製の詰め物・被せ物は、長期間の使用により、唾液や飲食物に含まれる成分によってわずかに溶け出すことがあります。金属アレルギーの原因になることもある「金属のイオン化」と呼ばれる現象です。

金属が溶け出すと詰め物・被せ物と歯の間に、非常に細かな隙間が生じることがあります。また金属自体が変形することで、歯との間に段差ができることもあります。隙間や段差は、歯ブラシの毛先が届きにくく汚れや細菌が溜まりやすい、つまり虫歯になりやすい環境といえます。結果として二次カリエス（詰め物・被せ物の内部で発生する虫歯）のリスクが高まるというわけです。

銀歯などの金属は、温度変化によってわずかに膨張したり収縮したりする性質を持っています。特に飲食時は口腔内の温度が大きく変化することがあり、銀歯もその影響を受けます。

たとえば熱いものを食べると膨張し、冷たいものを食べると収縮します。膨張・収縮が繰り返されることで銀歯と歯の間に小さな隙間や段差が生じることがあります。隙間や段差に溜まった汚れは歯ブラシでかき出しにくいため、虫歯菌が増殖して虫歯になる可能性が高くなります。

銀歯などの金属の表面は、セラミックに比べてわずかに粗い構造をしています。このため歯垢が入り込みやすく、虫歯菌が増殖しやすい環境となっているのです。特に表面が酸化しやすい銀歯は、経年により表面の粗さが目立つようになります。銀歯は虫歯菌が歯垢を分解するときに生み出される酸で溶けることもあるため、不衛生な状態が続くなどした場合、虫歯になってしまうことがあります。

セラミックの歯を長持ちさせるには日々のセルフケアが重要です。毎日のブラッシングをより丁寧に行うよう心がけましょう。特にセラミックの部分と歯の境目、歯と歯の間は汚れが溜まりやすいので意識して磨くようにしてください。

ブラッシングには癖があるので、自己流だと磨き残しが出る方もいます。定期的に歯科医院を受診して、歯科医師や歯科衛生士によるブラッシング指導を受けることをおすすめします。指導を受けることで、自分では気づきにくい磨き方の癖が分かるだけでなく、歯ブラシの選び方・歯磨き粉の種類などのアドバイスも得られるはずです。

毎日の丁寧なセルフケアを習慣化して、セラミックの歯を長く健康に保ちましょう。

歯ぎしりや食いしばりは、睡眠中や集中しているときなどに無意識に行ってしまう癖です。セラミックの歯に過剰な力が加わり破損や欠け、割れのリスクを高めます。場合によってはセラミックに強い力が加わることで、周囲の歯や顎関節にも悪影響を及ぼすことがあります。

歯ぎしりや食いしばりの原因は、ストレスや噛み合わせ不良などさまざまです。まずは歯科医院で相談し原因を特定してもらいましょう。

就寝中にマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによるダメージを軽減できる可能性もあります。マウスピースは、歯科医院で個々の歯型に合わせて作製してもらうことができます。

歯ぎしりや食いしばりの癖は、自分では気づきにくいものです。しかし放置するとセラミックの歯の寿命を縮めるだけでなく、口腔内のさまざまなトラブルを招く要因にもなります。心当たりがある方は適切な対策を講じることが大切です。

毎日の丁寧な歯磨きはセラミックの歯を長持ちさせるための基本です。しかしブラッシングだけではどうしても磨き残しが出てしまいます。セラミックの部分と天然歯との境目や、歯と歯の間は特に汚れが溜まりやすいため注意しなければなりません。

虫歯や歯周病を防ぎセラミックの歯を長く快適に使うためには、定期的に歯科医院で検診とクリーニングを受けることが重要です。歯科医院では専門的な器具を使って歯石や歯垢を除去してくれます。またセラミックの歯をはじめ口腔内の状態もチェックしてもらえるので、虫歯などの早期発見にもつながるでしょう。3か月～4か月に一度を目安に、歯科医院での定期検診とクリーニングを受けることをおすすめします。