歯の詰め物(コンポジットレジン)の変色はなぜ起こる?原因と治療法、目安費用を解説
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「前歯の詰め物の色が合わなくなってきた…」そんな悩みはありませんか?
コンポジットレジン(歯科用プラスチック)の変色は、コーヒーや喫煙による着色だけでなく、材質の経年劣化や、詰め物の隙間から生じる「二次う蝕(虫歯の再発)」など原因が多岐にわたります。そのため、まずは歯科医院を受診して正確な診断を仰いでください。
また、この記事では変色の主な原因を紐解き、クリーニング・再治療・セラミックへの移行など、症状や予算に合わせた治療法の選択肢、予防策を徹底解説します。自分に合った治療法を選ぶための判断材料としても、ぜひご活用ください。
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この記事の監修医師
箕浦 千佳 歯科医師
- 監修
朝日大学の歯学部を卒業。現在は、愛知県名古屋市にある長谷川亨歯科クリニックにて非常勤医師として勤務しています。
これって変色?気になる症状セルフチェックリスト
変色について以下の症状がある場合、歯科医院の早期受診が推奨されるサインかもしれません。
- 詰め物全体が均一に黄ばんでいる
- 歯と詰め物の境目に黒い線がある
- 表面に茶色い斑点が見える
- 表面がザラザラする
まずはご自身で注意深く観察してみてください。これらは単なる汚れではなく、詰め物の劣化やトラブルの可能性があります。
コンポジットレジン(詰め物)が変色する主な3つの原因とは?
歯の詰め物であるコンポジットレジンの変色には、材質や口腔内の環境が深く関わっています。主な原因は以下の3つです。
変色の原因を正しく理解することが、その後の適切な対策と長く美しさを保つための予防への第一歩となります。それぞれ詳しく解説していきます。
原因1:外因性着色(食べ物・飲み物・喫煙)
レジンが変色する原因のなかでも一般的なのが、日常の飲食や喫煙など外的要因による着色です。
たとえばコーヒー、紅茶、赤ワインに含まれるステイン(タンニンやポリフェノール)、カレーのスパイス、タバコのヤニなどはレジンの表面に付着します。このタイプの変色は、クリーニングや研磨で改善しやすい傾向にあります。
ただしレジンには吸水性があるため、時間の経過とともに内部にも色素が入り込んでしまうことも。そのため、長期間放置するとクリーニングや研磨で取り除くのが難しくなる点に注意が必要です。
原因2:内因性要因(材質の経年劣化)
レジンは樹脂(プラスチック)の一種です。他のプラスチック製品と同じように、時間の経過とともに劣化し、内部から変色してしまうことがあります。
劣化による変色を招く主な要因は、紫外線や口腔内の水分の吸収など。これらで樹脂成分が化学的に変化し、全体的に黄ばみを帯びるようになります。また、歯とレジンを結合させる歯科用接着剤の層(ボンディング層)が劣化したり、着色したりすることも原因のひとつです。
内部からの変色はクリーニングによる改善が難しく、詰め直し等の処置が必要になるケースが多くなります。
原因3:二次う蝕(詰め物の隙間から発症する虫歯)
詰め物と歯の境目に現れる茶色や黒い線は、単なる着色ではく「二次う蝕(虫歯の再発)」のサインかもしれません。
経年劣化で生じたレジンと歯の微細な隙間から細菌が侵入し、内部で虫歯が進行して黒く透けて見えている状態です。見た目だけでなく、歯の寿命を縮めるおそれもあるため注意しましょう。
虫歯なので、放置しても自然治癒することはありません。自己判断せず、できるだけ早く歯科医院を受診し、レントゲン撮影などを含む正確な診断を受けることが重要です。
材質と仕上げで耐久性が変わる?変色しにくいレジン治療とは
レジンの耐久性は「どの材料を使うか」「誰が治療するか」に大きく左右されることがあります。レジンに含まれるフィラー(セラミック粒子)の密度や大きさは製品によって異なり、高品質なものほど強度や耐変色性に優れています。しかし、良い材料を使うだけでは不十分です。
治療時の徹底した防湿(ラバーダムの使用)や、何段階にもわたる丁寧な研磨作業こそが、長期的な美しさと耐久性を決定づける鍵となります。同じ「白い詰め物」でも、手間と技術によって、その寿命には大きな差が生まれてしまうのです。
コンポジットレジンの種類と特性
レジンは一種類ではありません。プラスチックの中に混ぜ込まれた粒子の大きさや性質により、さまざまな種類が存在します。
主流の「ナノフィラー」や「マイクロハイブリッド」などは、粒子が極めて細かく高密度に配合されています。これらは従来の素材に比べ、表面を滑らかに磨き上げやすく、ツヤが長持ちし着色しにくいという優れた特性があります。
前歯の審美性が求められる部位や、噛み合わせの力がかかる部位など、場所と審美的な要求度に応じて適切な材料を選択することが、満足度の高い結果につながります。
レジン治療は歯科医師の技術によって仕上がりが変わる?
レジン治療の成否は、歯科医師の「接着」と「研磨」の技術にもかかっています。接着においてもっとも重要なのが、唾液や呼気に含まれる湿気を徹底的に排除する「ラバーダム防湿」です。これにより接着力が最大化し、変色や二次う蝕のリスクを大幅に低減します。
また、粗いやすりから細かいペーストへ、手間をかけて表面を鏡のように滑らかに仕上げる形態修正後の「段階的な研磨」も重要です。これにより、プラークや着色の付着を物理的に抑制し、治療直後の美しさを長期間維持させることが可能になります。
変色したレジンの主な5つの治療法と、それぞれの特徴
変色したレジンの治療は、原因や劣化の進行度によって適切なアプローチが異なります。主な治療方法は以下の5つです。
それぞれの手法について、費用や耐久性を含めて詳しく解説します。
治療法1:クリーニング・研磨
コーヒーやタバコのヤニなど、レジン表面に付着しただけの軽度な着色であれば、歯科医院での専門的なクリーニング(PMTC)や専用機器による研磨で改善する可能性があります。歯を削ることなく、本来の色とツヤを取り戻すことができるため、もっとも歯への負担が少ない方法です。
ただし、レジンの内部深くまで色素が浸透している場合や、紫外線による材質自体の黄ばみ(経年劣化)には効果が薄く、この方法では改善が難しいケースもあります。
費用、期間、耐久性
費用は公的医療保険の適用(3割負担)で数千円程度、期間は1回の通院(30分〜1時間程度)で完了します。ただし、初期の変色には有効な手段ですが応急処置的な治療法です。耐久性は一時的で、生活習慣によっては再着色のリスクがあるため定期的なメンテナンスが必要です。
治療法2:表面一層の除去と再研磨(リフレッシュ)
変色が表面のみに留まっている場合や、表面がザラついてツヤが失われている場合に有効な方法です。変色したレジンの表面を薄く一層だけ削り取り、再度、滑らかに磨き上げることで輝きを取り戻します。
すべて詰め直す場合に比べて歯を削る量を抑えつつ、見た目をリフレッシュできます。ただし、変色が深部に及んでいないか歯科医師による正確な診断が重要になります。
費用、期間、耐久性
費用は公的医療保険の適用で数千円程度、通院は基本的に1回なので期間も短く済みます。クリーニングより高い効果が期待でき、耐久性もやや長くなる一方、削れる量に限界があるため、深い変色や内部の二次う蝕には対応できません。あくまで、表面的な劣化に対する処置となります。
治療法3:部分的な再充填
詰め物の一部が欠けたり、境界部分にのみ二次う蝕が発生したりしている場合に検討される方法です。問題がある部分だけを除去し、新しいレジンを充填して修復します。既存の健全な部分を可能な限り残せるため、歯に優しい治療法と言えるでしょう。
一方で、古いレジンと新しいレジンの接着強度を保ち、色味を違和感なく馴染ませるには、歯科医師の高い技術力が求められます。
費用、期間、耐久性
費用は公的医療保険の適用で1歯あたり数千円程度、期間は多くの場合1回の通院で済みます。全体をやり直すより歯への負担は少ないですが、新旧レジンのつなぎ目が目立つリスクや、レジン特有の経年劣化(数年程度)は避けられません。部分的な補修となるため、境目から再び変色する可能性に関しても考慮が必要です。
治療法4:全体的な再充填(詰め直し)
変色が内部深くまで及んでいる場合、広範囲に二次う蝕が認められる場合、または詰め物の形が合っていない場合などの治療法です。古いレジンを取り除き、必要に応じて虫歯治療を行った上で新しく詰め直します。
審美性は大きく改善できますが、レジンを接着したり剥がしたりするたびに歯面の処理が必要です。そのため、治療を繰り返す場合は歯質が薄くなるリスクも考慮する必要があります。
費用、期間、耐久性
費用は、公的医療保険の適用で1歯あたり数千円程度、1〜数回の通院が必要です。見た目は一新されますが、レジンの寿命には限界があります(平均2〜3年、長くて5〜10年程度)。また吸水や劣化による再変色および、二次う蝕のリスクは残るため定期的な検診が推奨されます。
治療法5:セラミック治療(ラミネートベニア・クラウン)への移行
「変色の再発を根本的に防ぎたい」「より高い審美性と耐久性を長期間維持したい」という方に適した選択肢です。セラミック(陶材)は吸水性がなく汚れも付きにくいため、経年による変色がほとんど起こりません。
レジンに比べて費用は高くなりますが、長期的な観点で見ると、再治療の頻度を大幅に減らせるため歯の寿命を守ることにも繋がります。
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費用、期間、耐久性
自由診療で、費用は詰め物が40,000〜80,000円程度、被せ物が80,000〜180,000円程度といった相場感です。期間は2〜4回(1週間〜1か月)の目安です。耐久性に優れており、10〜15年と長期間、天然歯のような透明感と美しさが続きます。また表面が滑らかでプラークが付きにくいため、二次う蝕のリスクも低減できます。
【補足】ホワイトニングとレジン治療の適切な順番
「ついでに歯全体を白くしたい」とお考えの方は、順序に注意が必要です。ホワイトニング剤は天然歯のみを白くし、人工物であるレジンの色は変化させません。
そのため先にレジンを詰め直してホワイトニングをすると、レジンと天然歯の白さが合わなくなるおそれがあります。まずホワイトニングで歯を希望の白さにしてから、その色に合わせてレジンを詰め直すほうが、色ムラのない自然な仕上がりを実現できる可能性が高くなります。
箕浦 千佳 歯科医師
監修医師が答える!
「コンポジットレジンの変色をホワイトニングで直せないのはどうして?」
ホワイトニングは、もともとあるご自身の歯を白くする治療です。コンポジットレジンは人工の材料なので、ホワイトニング剤の影響を受けず、色が変わらないという特徴があります。そのため、ホワイトニングをすると周囲の歯だけが白くなり、レジンとの色の差が前より気になってしまうこともあります。
これは、材料の性質による自然な反応なので、誰にでも起こり得ることです。レジンの色が気になる場合は、クリーニングや詰め直しなど、レジンそのものを整える治療が必要になります。
ホワイトニングも検討している方は、治療の順番を歯科医師と相談することで、より自然な仕上がりを目指せます。
レジンの変色を防ぐセルフケアの重要性と主な予防法
レジン治療で手に入れた美しい歯を長持ちさせるには、自宅での日々のケアが欠かせません。
まずコーヒーや赤ワインなど着色しやすい飲食物を摂った後は、早めのうがいや歯磨きを習慣にしましょう。色素が定着する時間を少しでも減らすことが大切です。
また、歯磨き粉はレジンの表面を傷つけにくい「低研磨」または「研磨剤無配合」のタイプを選ぶのもポイント。傷がつくと、そこに色素が入り込んで取り除けなくなるためです。
さらに、詰め物と歯の境目は汚れが溜まりやすいため、デンタルフロスを使った丁寧な清掃も重要です。変色だけでなく、二次う蝕の予防も心がけましょう。
もちろんセルフケアには限界があります。歯の美しさと健康を守るため、歯科医院での定期検診も欠かさず受けるようにしてください。
まとめ
コンポジットレジンの変色は、単なる着色汚れから材質の経年劣化、そして二次う蝕(虫歯の再発)まで原因はさまざまです。それぞれ最適な対処法が異なるため、鏡を見ただけの自己判断は禁物です。
まずは歯科医院で正確な診断を受け、変色の原因を特定することが、美しく健康な口元を取り戻すための確実な第一歩です。
「とりあえず白くしたい」だけでなく、耐久性や費用、将来のリスクまで踏まえ、歯科医師とよく相談して自分に最適な治療法を選択してください。
そして治療後は、適切なセルフケアと定期検診で、その自信あふれる笑顔を長く保っていきましょう。
箕浦 千佳 歯科医師
監修医師からのメッセージ
コンポジットレジンの変色に気づくと、「このままで大丈夫かな」「また治療しないといけないのかな」と不安になる方も多いと思います。でも、変色の原因はさまざまで、すぐに大きな治療が必要なケースばかりではありません。軽い着色であれば、クリーニングで改善することもありますし、必要最小限の処置で済むことも少なくありません。
大切なのは、ひとりで悩まずに、今のお口の状態をきちんと診てもらうこと。歯科医院では、「今すぐ治すべきか」「様子を見ても大丈夫か」も含めて、あなたに合った選択肢を一緒に考えることができます。
口元は、毎日の笑顔や自信につながる大切な部分です。少しでも気になることがあれば、どうぞ気軽に相談してみてくださいね。
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箕浦 千佳 歯科医師
監修医師が答える!
「コンポジットレジンの平均寿命はどれくらい?交換時期の目安は?」
コンポジットレジンの寿命は、一般的には2〜3年くらいが目安といわれています。ただし、あくまで平均的なお話で、治療の丁寧さや日々のケア、生活習慣によって大きく変わります。
状態が良ければ、5年以上きれいなまま使えている方もいらっしゃいますし、逆に見た目の変化が早く出ることもあります。
特に前歯は目につきやすいため、機能的に問題がなくても「色が合わなくなってきた」「境目が気になる」と感じるタイミングが、ひとつの見直しのサインになることがあります。