ホワイトニング治療は矯正中でもできる?リスクや注意点を解説

ホワイトニング治療は矯正中でもできる?リスクや注意点を解説 監修:若菜 康弘 歯科医師の画像

「矯正中でも白い歯を諦めたくない」そう思っている方は多いのではないでしょうか。矯正中だからといってホワイトニングができないわけではありません。しかし、矯正中のホワイトニングにはいくつか注意点があり、矯正方法によってホワイトニングの可否や適した方法も異なります。

この記事では、矯正中にホワイトニングを検討している方が抱える疑問や不安を解消し、安全で効果的なホワイトニング方法について詳しく解説します。理想の白い歯を手に入れるためにも、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修医師

若菜 康弘 歯科医師

若菜 康弘 歯科医師

  • 監修

鶴見大学歯学部大学院卒業。
現在は、千葉県夷隅郡大多喜町にある若菜歯科医院の院長を務めています。

矯正中にホワイトニングはできる?

矯正中にホワイトニングはできる?の画像 矯正中にホワイトニングはできる?の画像

矯正中に歯の黄ばみが気になる方もいるかもしれません。たとえばワイヤー矯正で白い審美ブラケットを使用している方は、その対比で歯の黄ばみが目立つといったことも考えられるでしょう。

「矯正をしながらでもホワイトニングができるのかどうか」については、矯正方法(矯正装置)によって異なるというのが結論です。すべての矯正方法でホワイトニングができるわけではなく、またホワイトニングできる場合でも注意が必要なケースがあります。

ここでは一般的な矯正方法であるブラケットとワイヤーを使った「表側矯正」「裏側矯正」および、それらの器具を使用しない「マウスピース矯正」に分けて、ホワイトニングが可能かどうかを説明していきます。

表側矯正

歯の表面にブラケットとワイヤーを装着する表側矯正の場合、原則としてホームホワイトニングもオフィスホワイトニングもできないと考えてよいでしょう。主な理由は物理的な問題によるものです。

取り外せないブラケットが歯の表面に接着されているため、ホワイトニングに使用する薬剤をブラケットの部分に塗り込むことができません。また、複雑な構造をしたブラケットの周囲に薬剤を均等に塗ることが難しいという問題もあります。

表側矯正中の方が強引にホワイトニングをした場合、ブラケットで隠れている部分とそれ以外の部分で白さにムラが生じるのも明らかです。こうした理由からも、表側矯正をしている方は矯正後にホワイトニングを行うことをおすすめします。

裏側矯正

歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着する裏側矯正(舌側矯正)であれば、ホワイトニングできる可能性があります。この場合は歯科医院で受けるオフィスホワイトニングが選択肢となるでしょう。

オフィスホワイトニングとは、歯科医院で専門の機器と高濃度の薬剤を使って歯を白くするホワイトニングの方法です。通院の手間はかかりますが、効果は高いので短期間で白い歯を手にすることができます。裏側矯正なら歯の表側にブラケットもワイヤーもないため、ホワイトニング剤を均一に塗布でき、効果的に歯を白くすることができます。

一方、マウスピース型のトレーを使うホームホワイトニングは、歯の裏側のブラケットやワイヤーが邪魔になるため基本的にはできません。矯正装置を取り外したあとに検討しましょう。

マウスピース矯正

マウスピース矯正では、歯の表面にブラケットやワイヤーを装着しません。また使用するマウスピースは取り外しができるため、ホワイトニングを行う際の邪魔になりません。したがってマウスピース矯正であれば、オフィスホワイトニングもホームホワイトニングも受けられます。

特にホームホワイトニングの場合は、矯正で使用しているマウスピースをそのままホワイトニング用のトレーとして流用できる場合があります。ホワイトニング用のマウスピースを別で作る時間・費用を抑えられる可能性があるでしょう(流用できるかどうかは、必ず事前に歯科医師に確認してください)。

ホームホワイトニングの効果についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。

矯正中にホワイトニング治療を受ける際の注意点

矯正中にホワイトニング治療を受ける際の注意点の画像 矯正中にホワイトニング治療を受ける際の注意点の画像

矯正中にホワイトニングを検討する方は、ここでお伝えするような注意点があることを理解しておきましょう。たとえば「自分はマウスピース矯正だから」というだけの理由で安易にホワイトニングを進めてしまうと、期待した効果が得られないだけでなく、思わぬトラブルにつながる可能性も考えられます。

矯正中のホワイトニングで知っておくべきリスクや注意点を詳しく説明するので参考にしてください。

ホワイトニングの効果が下がる可能性がある

矯正中ということは、まだ歯並びが整っていない状態ということでしょう。そのタイミングでホワイトニングを行うと、薬剤がまんべんなく行き渡らない可能性があります。歯が凹凸して重なっていたり傾いたりしている歯列の場合は特に、薬剤が均等に浸透せず白さにムラが生じるおそれがあります。

せっかくお金をかけてホワイトニングをしても、期待する効果が得られない可能性が高くなり、仕上がりに不満が残ってしまうことが考えられます。今すぐ歯を白くしなければならない理由がないのであれば、矯正治療が終わって歯並びが整い、矯正装置が取り外されてからホワイトニングを行うほうが効果的でしょう。

強い痛みを伴うことがある

矯正中は、歯や歯茎に少なからず物理的な負担がかかっています。すでに「日常的に痛みや違和感がある」という方もいるかもしれません。そこへホワイトニングの薬剤による刺激が加わることで、普段よりも強い痛みを感じる可能性があります。

たとえばホワイトニングの薬剤に含まれる「過酸化水素」は、歯茎に刺激を与えることがあります。ホームホワイトニングでは特に、薬剤の量が多すぎないか注意しながら行うことが大切です。

またホワイトニングの薬剤が歯の表面に作用すると、ペリクル(歯の表面を保護している膜)が一時的に剥がれます。これにより知覚過敏のような症状が現れることがあります。矯正で歯が動く違和感・痛みとあわせて、しみるような感覚を覚える方もいるでしょう。

矯正中にホワイトニングを検討する場合は必ず事前に歯科医師に相談し、歯の状態を十分に確認してもらうことが大切です。

未成年のホワイトニングは歯の成長に悪影響を及ぼすことがある

未成年で矯正治療を受けている方がホワイトニングを受けることはおすすめしません。特に永久歯が生え揃ったばかりの状態は、エナメル質がまだ未成熟で非常に敏感です。この時期にホワイトニングをすると、薬剤による予期せぬ反応が起こるおそれがあります。

結果として歯の成長にも悪影響が及ぶかもしれません。そうした理由もあってか、未成年者のホワイトニングを受け付けていない歯科医院も多く存在するようです。

そもそも、永久歯が生え揃ったばかりのお子さんの歯がホワイトニングを検討するほどの色(黄ばみ等)だった場合、着色汚れではなく遺伝的なものかもしれません。あるいは、主に細菌感染症の治療に用いられるテトラサイクリン系抗生物質の影響による歯の変色といったことも考えられます。

矯正中のお子さんのホワイトニングを検討している親御さんは、必ず事前に歯科医師と十分に相談し、歯の成長段階や歯の色の原因等を突き詰めた上で慎重に判断しましょう。

高額な費用が必要になる

矯正もホワイトニングも、原則として公的医療保険が適用されない自由診療です。矯正ほどではありませんが、相場としては

  • オフィスホワイトニング:20,000~70,000円
  • ホームホワイトニング:20,000~40,000円
  • デュアルホワイトニング:40,000〜80,000円

こちらの金額が目安です(詳しくはこちらの記事もご覧ください)。

矯正の費用とあわせると高額な費用が必要になります。それぞれの治療にかかる費用や支払い方法については、歯科医院にしっかり確認しておくことが大切です。予算を考慮した上で無理のない計画を立てましょう。

若菜 康弘 歯科医師

若菜 康弘 歯科医師

監修医師が答える!
「矯正治療中にホワイトニング治療を受ける際の注意点は?」

矯正治療とホワイトニング治療は、治療の期間を通して歯や歯茎に大きなストレスを与える治療です。
同時に行う場合には歯の痛みや知覚過敏といった症状が起きたり、ホワイトニングの効果が下がる心配もあります。

ホワイトニング治療のベストなタイミングは?

ホワイトニング治療のベストなタイミングは?の画像 ホワイトニング治療のベストなタイミングは?の画像

ホワイトニングをするなら矯正が終わってからのタイミングがベストです。歯列がキレイに整った状態であればホワイトニングの薬剤が均等に作用しやすいため、より高いホワイトニング効果が期待できるでしょう。

また矯正中に並行してホワイトニングを行った場合の、予期せぬトラブル(ホワイトニング効果のムラ、痛みの増強など)も避けることができます。それに歯並びが整っているほうがメンテナンスもしやすいので、白い歯を長く維持しやすくなるでしょう。

ただし「結婚式などのイベントが決まっており、一時的にでも歯を白くしたい」という方もいるかもしれません。その場合はホワイトニングではなく、歯のマニキュア(ホワイトコート)といった選択肢もあるので、諦めずに歯科医師に相談してみることをおすすめします。

まとめ

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矯正中でも、「裏側矯正」「マウスピース矯正」であればホワイトニングできる可能性があります。ただし歯列が整わない状態でホワイトニングをした場合、効果にムラが生じることがあります。また矯正で歯や歯茎に負担がかかっていると、薬剤の作用で強い痛みを感じることがあります。

また未成年者のホワイトニングは、歯の成長に悪影響を及ぼすおそれがあるため注意しましょう。そもそもホワイトニングでは白くできない原因かもしれないため、必ず歯科医師など専門家の診断を受けてください。

もっとも効果的に、かつ安全に歯を白くするのであれば矯正が終わってからがおすすめです。この記事を参考に歯科医師とも相談しながら、ぜひ自分にとってベストなホワイトニング方法を見つけてください。

若菜 康弘 歯科医師

若菜 康弘 歯科医師

監修医師からのメッセージ

矯正治療中にホワイトニングを行う場合のリスクを事前予測して治療の効果を最大限に高めるためには、通院時間や間隔などの効率だけを考えずに、十分な診断と担当医との時間をかけた話し合いをすることで、最適なタイミングで治療を受けることをお勧めします。

全国にあるホワイトニングが受けられる歯科医院は、こちらから探すことができます。

審美歯科ネットプラス編集部

この記事の執筆者

審美歯科ネットプラス編集部

審美歯科ネットプラス編集部は、メディカルネットが運営する審美歯科治療に特化した情報サイト「審美歯科ネットプラス」で日々配信を行っています。

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